◆伊豆の踊子 [1963年 日活]

伊豆の踊子

[スタッフ]
原作 川端康成
脚色 三木克巳
脚色・監督 西河克己
企画 坂上静翁
撮影 横山実
照明 河野愛三
録音 沼倉範夫
音楽 池田正義
美術 佐谷晃能
[出演者]
薫/少女 吉永小百合
川崎 高橋英樹
栄吉 大坂志郎
お芳 浪花千栄子
お清 十朱幸代
お咲 南田洋子
人夫頭 郷鍈治
鳥屋 桂小金治
紙屋 井上昭文
学生 浜田光夫
老教授 宇野重吉
 (カラー シネマスコープ 87分)
有名な川端文学の4度目の映画化である。日活では初めての試みで、当時同社の若手スターだった吉永小百合と高橋英樹が主演した。宇野重吉扮する大学教授の回想という形式を取っているのが特徴で、現在と過去をカラーと白黒で使い分け、現代の女性と回想中の踊り子を吉永に二役で演じさせたことについて、西河克己監督はこれまでの『伊豆の踊子』と違った試みをやりたかったと述べている。原作中の有名な台詞「いい人は、いい人ね。」を意図的にシナリオから削除したことにも新しい「踊子」像を作ろうとした野心が現われているが、最初の田中絹代主演作品(1933)や後の再映画化と比較しても、全体としてはセンチメンタルな作品に仕上がっていると言えるだろう。川端はこの作品のロケーション撮影を訪れているが、完成した作品について川端が各地で高い評価を公言したので、かえって西河監督が戸惑ったという逸話も残っている。