◆近松物語 [1968年 松竹]

近松物語

[スタッフ]
原作 近松門左衛門
劇作 川口松太郎
脚本 依田義賢
監督 溝口健二
製作 永田雅一
企画 辻久一
撮影 宮川一夫
照明 岡本健一
録音 大谷巌
音楽 早坂文雄
美術 水谷浩
[出演者]
茂兵衛 長谷川一夫
おさん 香川京子
お玉 南田洋子
以春 進藤英太郎
助右衛門 小沢栄
源兵衛 菅井一郎
道喜 田中春男
以三 石黒達也
おこう 浪花千栄子
   
   
 (白黒 スタンダード 103分)
1952年に『西鶴一代女』で世界的注目を浴びた溝口監督は、『雨月物語』と『山椒太夫』によって翌53年、54年と相次いでヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞を受賞した。日本の古典文学を題材にして秀作を発表し、独自の様式美をもって世界的名声を獲得した溝口は、今度は近松門左衛門の人形浄瑠璃「大経師昔暦」を映画化することになった。この原作は、歌舞伎では「おさん茂兵衛」として知られているが、それに井原西鶴の「好色五人女」から「おさん茂右衛門」の話を付け加えている。商家に嫁いだ若妻が、わがままで好色な夫を諫めるために芝居を仕組むが、ちょっとしたはずみから使用人との不義密通の汚名を着せられ、のっぴきならぬ状況へと追い込まれてしまう。しかし二人はその逃避行の中で真実の愛に目覚め、捕まって処刑場におもむく彼らの表情は晴れ晴れとしたもので、その毅然とした態度は見物の人々を驚かせる。「キネマ旬報」ベストテン第5位。