◆二十四の瞳 [1954年 松竹]

二十四の瞳

[スタッフ]
原作 壷井栄
脚色・監督 木下恵介
製作 桑田良太郎
撮影 楠田浩之
照明 豊島良三
録音 大野久男
音楽 木下忠司
美術 中村公彦
[役名(キャスト)]
大石先生 高峰秀子
マスノ 月丘夢路
早苗 小林トシ子
松江 井川邦子
磯吉 田村高広
男先生 笠智衆
大石先生の母 夏川静江
男先生の妻 浦辺粂子
よろずや 清川虹子
飯屋のかみさん 浪花千栄子
校長 明石潮
   
 (白黒 スタンダード 155分)
壷井栄が1952年に発表した児童小説を、当時気鋭の中堅監督であった木下恵介が脚色・監督した作品。小豆島の豊かな自然を背景に、戦争をはさんだ激動の時代を、小学校の教師とその教え子たちの成長を通して描き、国民的大ヒットとなった感動大作である。風光明媚な島の自然をとらえるために長期にわたるロケーションが行われたのはもちろんだが、セット撮影であることを感じさせず、「自然のように」見せる配慮が画面の隅々まで行き届いていることも見逃せない。小学唱歌のみを用いた音楽も特徴的である。木下はこの作品の成功で、一般には叙情派監督として大きく印象づけられることになった。冒頭の場面と同じく再び自転車に乗って、岬の分教場に向かう主人公、大石先生を小さく映し出すラストシーンには、毫も変わらぬ自然、その中を点景のごとく生きていく人間、そして人間の営みに対する木下の思想が集約されている。「キネマ旬報」第1位をはじめ、この年の映画賞を独占した。