令和7年度優秀映画鑑賞推進事業
スター女優と文芸映画のひととき
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開催日: 2025年8月30日(土)~2025年8月31日(日)
会 場: 南魚沼市民会館多目的ホール
時 間: 上映開始 10:00
座 席: 全席自由
料 金: 2日間通し券 1,000円
1回券(1作品)500円
※当日券のみ販売
※ 南魚沼市内の老人クラブ会員は10%割引
※南魚沼スポーツパラダイス会員は5%割引
※1回券は割引対象外となります。
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主 催: (公財)南魚沼市文化スポーツ振興公社/国立映画アーカイブ
共 催: 南魚沼市老人クラブ連合
後 援: 南魚沼市教育委員会
協 力: 文化庁/一般社団法人日本映画製作者連盟/全国興行生活衛生同業組合連合会 /松竹株式会社/東宝株式会社/東映株式会社/株式会社KADOKAWA
開催日2025年8月30日(土)~ 8月31日(日)
会 場南魚沼市民会館多目的ホール
時 間10:00上映開始
料 金全席自由 2日間通し券1,000円
1回券(1作品)500円
※1回券は割引対象外となります。
※当日券のみの販売となります。
※南魚沼市内の老人クラブ会員は、10%割引
※南魚スポーツパラダイス会員は、5%割引
雪国
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「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」という有名な冒頭ではじまる川端康成の不朽の名作小説を映画化したもので、文芸映画を得意とした豊田四郎が監督した。
日本画家の島村(池部良)は、戦争へと突き進む暗い世相のなかで、一年前に越後湯沢の温泉場で逢った芸者・駒子のことが忘れられず、再びその温泉場を訪れる。二人は互いに惹かれ合うが、駒子は義母とその息子を養うため旦那を持っており、島村は東京に妻子がいた…。徐々に惹かれ合ってゆく島村と駒子の心理が、熟練した豊田四郎の細やかな演出で表現される。また、雪国の空気と生活感がにじみでる映画美術も、本作を格調高いものにしている。
岸惠子は本作の製作中に、フランス人映画監督のイヴ・シャンピとの婚約を発表して時の人となり、封切と時を同じくしてフランスへ旅立った。
原作小説は1965年にも、岩下志麻・木村功主演で再映画化されている。
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上映スケジュール
五瓣の椿
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山本周五郎の同名小説を井手雅人が脚色し、川又昻が撮影、野村芳太郎が監督にあたった文芸大作。
父の恨みを晴らすために、好色な母と関係した男達を誘惑し、一人ずつ殺害していく娘おしのの復讐を描く。
その男たちは、三味線引きの蝶太夫、婦人科医、札差屋の伜、芝居茶屋の出方、袋問屋の主人とさまざまだが、死体の傍らにはつねに一輪の椿が残されていた。 この陰惨な物語を、岩下志麻は内に気丈さと気品を湛えた演技で好演し、代表作の一つとした。
また、この作品の場合、松竹映画を支えてきた技術陣の力も見逃すことはできない。とくに、主人公の心理描写に赤、白、黒の色彩を効果的かつ象徴的に用いた独自の撮影は、川又昻カメラマンの力量を発揮したものであった。
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上映スケジュール
流れる
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隅田川畔の花柳界・柳橋を舞台に、置屋の女中として雇われた女の眼を通して、零落する花街の姿を描いた幸田文の同名小説を、田中澄江、井出俊郎による脚色により成瀬巳喜男が映画化。前年『浮雲』にてベストワン監督となった成瀬が、当代を彩る女優陣の火花散る競演を得て、芸者として生きるさだめを抱えた女たちのけなげさやエゴを存分に引き出し、代表作の一つとした。
置屋の女将を務めながら男への未練を断ち切れない山田五十鈴演じるつた奴に、彼女を芸者として鍛え上げた地元有力者の女将お浜が絡む場面は、原作にはあまり描かれていないが、成瀬に請われ18年ぶりの銀幕復帰となった栗島すみ子による、やさしさと冷徹さを兼ね備えた存在感により、スリリングな緊張感をもたらしている。また、つた奴の娘・勝代を演じた高峰秀子、老齢にかかった芸者のアクを見せた杉村春子とともに、映画全体の距離感を作り出した女中役・梨花(お春)の田中絹代の演技も見逃せない。女優たちの艶とケレン味が、座敷の場面を一つも描かずして、セットと実景を見事に結合させた空間構成のなかから引き出され、現実の変化とともに確実に失われつつある時代への郷愁を、艶やかなモノクロームの画面に見事に定着させている。
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上映スケジュール
五番町夕霧桜
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田坂具隆監督は戦前からのキャリアをもつ名匠の一人であり、『路傍の石』、『五人の斥候兵』(ともに1938)などの名作で広く知られている。地味ではあるが、堅実な作風はかねてから定評のあるところであるが、この作品においてもその長所を随所で認めることができるだろう。
遊郭の佇まいや内部の造りなど、物語の背景に対して、田坂監督ならではの配慮がなされており、表現に厚みをくわえている点も見逃すことはできない。脚本家の鈴木尚之によれば、旦那と恋人のあいだで揺れる女の身体と心を描く官能的な場面の演出に先立ち、田坂は主演の佐久間良子に丁寧なメモ書きを与え、長く対話することで主人公の気持ちをすくいあげた演技指導をしたという。善良な遊郭の女将や娼妓といった設定は、この場合、意図的なものであり、そのことによって主人公・夕子の薄幸がより純粋に、観客に印象づけられるといえるだろう。「キネマ旬報」ベストテン第3位。
東映が時代劇から任侠映画へと比重を移しつつあった時期でもあり、次郎長(鶴田浩二)、大政(大木実)、法印大五郎(田中春男)、関東綱五郎(松方弘樹)、桶屋の鬼吉(山城新伍)、増川仙右衛門(津川雅彦)、森の石松(長門裕之)という布陣は、そのまま大正時代劇ともいえる任侠映画の中核をなしていく。
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上映スケジュール